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VR活用

医療×VRの国内・海外事例

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VRと聞くとまだまだエンターテイメント向けのコンテンツを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ビジネス向けの利用も近年加速しています。

その代表的な例として、医療分野はVRの活用が特に進んでいる分野の一つです。

具体的には、手術のシュミレーションやトレーニング、患者データの視覚化、仮想体験による痛みや不安の緩和、精神疾患の治療などVRを用い様々な問題の解決が図られています。

今回は医療×VRというトピックに絞り、国内・海外の事例を紹介していきます。

手術シュミレーション・データ活用

Holoeyes

VRを用いた手術の様子  出典:Holoeyes

Holoeyesは実際の医療現場で活用されているVRサービスを提供する日本発のスタートアップです。HoloeyesVRは今まで十分に活用されることのなかったCTやMRI画像を3Dデータ化しVR空間内で表示させることで、2D画像でしか判断できなかった患者の状態をより直感的に把握することを可能しました。

また同社は今年4月に新サービスHoloeyesXRをリリースしました。

専用サイトにCT画像から作成されたポリゴンファイルをアップロードすると、VR/MR用のアプリがHoloeyesXRにより自動生成され、利用者はそのアプリをダウンロードして実際の医療現場で使用するといった流れです。

このアプリは術前手術計画や術中でのコミュニケーション、遠隔地間での症例カンファレンス、映像を使った教育など様々な場面に役立てられています。

Holoeyes:  https://holoeyes.jp/

トレーニング・教育

The Stanford Virtual Heart

The Stanford Virtual Heartはスタンフォード大学で開発された心臓について学ぶ学生や医者と患者とのコミュニケーションをより簡潔にするためのVRコンテンツです。

心臓をVRにより3D映像化し、様々な向きから観察したり、部位ごとに分けて見たりと心臓の細かな部位、構造まで詳しく見ることができます。

このコンテンツを利用することで、学生はより深く心臓について学ぶことができ、医者もより正確に、わかりやすく病状の説明を患者にすることが可能になりました。

 Stanford Virtual Heart:https://www.stanfordchildrens.org/en/innovation/virtual-reality/stanford-virtual-heart

リハビリ治療

MindMaze

出典:MindMaze

MindMazeはスイスに本社を置く医療系スタートアップで、「neural virtual reality platform」という脳卒中患者の運動機能回復のためのVRコンテンツを開発しました。

指先・手首・肘につけられたセンサーにより患者さんの動きを読み取りモニターに反映します。モニターに表示される課題をクリアしていき、ゲーム感覚でリハビリをすることができます。

すでにヨーロッパやアジアの50軒以上もの病院に導入されており、多くの脳卒中患者や手足を失った人々のリハビリに活用されています。

MindMaze:https://www.mindmaze.com/

仮想体験による痛みや不安の緩和

Brennan Spiegelの取り組み

出典:Cedars-Sinai

入院中の患者にとって、症状に苦しみながら毎日同じベッドの上で寝ている生活は大きな苦痛です。

Brennan Spiegelと彼のチームは入院中の患者の不安や痛みを和らげるためにロサンゼルスのCedars-sinai病院にVRを導入しました。

Spiegelは患者がVRを利用し、症状の苦痛や不安を和らげることで、結果的に病院での滞在期間が短くなり、費用も抑えることができると言っています。

より具体的には入院中の子どもたちのために、自宅や学校の360°映像をVRで体験してもらい、入院中のストレスを少しでも軽減してもらうといった活動があります。また、予防接種中に子どもたちにVRヘッドセットを被せると痛みが軽減するという実験結果もあります。

こういった取り組みは北米の病院を中心に進んでいます。

Cedars-Sinaiでの取り組み:https://www.virtualmedicine.health/

高齢化現象や精神疾患の体験・理解促進

バーチャルハルシネーション

VRはなかなか理解されづらい特定の病気の症状などを体験することで、人々にそれらの病気で苦しんでいる人々への理解を促進するという効果を得ることもできます。

ヤンセンファーマ株式会社は精神疾患の一種である統合失調症の症状を疑似体験できるVRコンテンツを開発しました。

統合失調症とは、幻覚や妄想などの症状が特徴的な精神疾患です。発症すると家庭や社会での生活に支障をきたし、またそれが病気のせいだと自覚することが難しいという特徴を持ちます。そのため、家族や友人、会社など周りからの理解を得るのが難しい病気で、およそ100人~120人に1人の割合で発症する頻度の高い病気です。

この統合失調症の疾患教育ツール「バーチャルハルシネーション」は統合失調症の急性期の症状を再現することで、病気を体感することができます。

「軽蔑、嘲笑、命令してくる幻聴」、「行動を予言してくる幻聴」、「生活音に重なって聞こえてくる幻聴」、「過度におだててくる幻聴」の4つの代表的な幻聴のパターンをストーリー仕立てで体験することができます。

統合失調症のへ理解を深めることで、社会的偏見の軽減、および精神疾患を抱える多くの人々が最適な治療を受け、より快適な社会生活を送ることのできる社会の実現を目指しています。

また、VR上で74歳の男性の生活を体験することで、医学生たちに年をとるということを実感してもらうといった取り組みもあります。

結果的に、医者も患者の視点から考えることが容易になり、大きな年齢の差から生じる若い医者と高齢者との理解の相違の解決に繋がります。

バーチャルハルシネーション:https://www.janssen.com/japan/press-release/20160512-VH

まとめ

このように医療分野でのVR活用の用途は手術シュミレーション、教育、リハビリ、仮想体験と非常に多岐にわたり、その多くが実際の医療現場で活躍しています。

加えて、新しい治療法や、人材育成など医療の発展にも大きく寄与しています。

今後ますます医療分野へのVRの活用が広がっていき、治療の選択肢が増えていくことを期待したいです。

記事:中町諒佑

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